揚巻の五節句の衣裳
三浦屋揚巻 |
揚巻は遊女の中でも最高位の格である花魁(おいらん)で、 国(城)を滅ぼす(傾ける)ほどの美女の傾城(けいせい)と 呼ばれています。 衣裳には五節句にちなんだ模様があしらわれています。 |
人日(じんじつ)の節句 1月7日 |
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黒く染められた光沢のある繻子(しゅす)という生地に、お正月にちなんだ摸様が描かれています。 この模様は別の生地に刺繍して切り抜き、アップリケのように 縫い付けられています。 このような技法を台付け(だいづけ)と言います。 門松の土台は台付けに綿を入れて厚みをもたせて立体感を 出してあります。 裾にある菊の模様の部分は付(つけ)といって、着物でいう裾回しのようなもので、織物の生地に綿を入れてふくらませて あります。 |
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海老の飾りは本物そっくりに作られていて小道具に属します 金の注連縄(しめなわ)の台付けから金糸、銀糸を垂らします。 これを業界ではソーメンと呼んでいます。 右上はうらじろの葉とゆずり葉の台付けを重ねてあります。 |
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肩に何枚ものうらじろとゆずり葉を配して、注連縄で挟み込むように縫い付けます。 さらにその上に海老の飾りを付けて、お正月の衣裳の 出来上がりです。 |
上巳(じょうし)の節句 3月3日 |
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桜と火炎太鼓に御幕模様の打掛 |
端午(たんご)の節句 5月5日 |
黒地と緋色の打掛に鯉の滝登りをデザインした まないた帯をつける。 まないた帯は花魁の道中時の正装。 |
七夕(しちせき)の節句 7月7日 |
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助六の母を見送りに出た時の衣裳で まないた帯は七夕にちなんだ短冊模様。 打掛はその時代の有名画家が描いたものを使います。 |
重陽(ちょうよう)の節句 9月9日 |
重陽の節句で菊花の宴が行われたことから、 金銀の菊の花模様の打掛。 帯は部屋着のときにしめるあんこう帯。 |